こんにちは!ROBOSPOTの木内です。
ロボット製作に使用される材料は多々あり、用途によって適した材料を選定することが重要です。
以下のような基準で選定していきます。
●密度
材料の単位体積あたりの質量のことで、この値に体積を乗算することで全体の質量が求められます。
●引張強度
材料が引っ張られたとき引きちぎられない(破断しない)最大の強さです。基本的に「強度」といえばこの値のことです。断面積に比例します。
●せん断強度(剪断強度)
材料がせん断(はさみで切るような)力を加えられたときの最大強さです。引張強度の1/2で概算できます。断面積に比例します。
強度に関しては、これらの値よりも大きい力が加わると部材が壊れてしまいます。そのため、加わる力をしっかりと想定した上で強度計算を行って下さい。このような材料の性質を「機械的性質」と呼びます。他にも様々ありますがホビーロボットに使用するくらいであれば上のもので十分です。各材質の機械的性質はインターネットで検索できます。
ロボットに使われる材料のうち代表的なものをいくつか紹介していきます。
【アルミニウム】
フレームに使用される代表的な軽金属材料です。鉄よりも軽く(密度は約1/3)、加工性も良好なため多用されています。ただ一言でアルミといっても様々な種類があります。
・1000系・・・純アルミニウム(A1100など)
ほぼ100%アルミニウムで構成された材料です。折り曲げ加工が可能で加工難度は低いものの、粘性が高いため切削加工には向きません。また強度が低いため、フレームの材料としては向きません。入手性は高くホームセンターでも購入できます。
・5000系・・・Al-Mg系(A5052など)
マグネシウムを主添加物として加えたアルミ合金です。折り曲げ加工が可能ですが、粘性が高いので切削加工にはあまり向きません。中程度の強度をもち、最も多用されているアルミ合金とも言われています。ロボットのフレーム材料としてもよく使われており、ROBOSPOTの加工サービスで使われている板材もこの材質になります。専門店やオンラインショップで購入できます。
・2000系・・・Al-Cu-Mg系(A2017など)
ジュラルミンとして知られる、銅を添加することで鋼鉄並みの機械的強度を実現した合金です。折り曲げ加工には向きませんが、粘性が低く切削加工性は比較的良好です。航空機の材料として使用されるなど高強度を誇り、平板状フレームの材料に適しています。専門店やオンラインショップで購入できます。
【樹脂(プラスチック)材料】
アルミと並んで多用されている材料です。厚手の材料でも容易に加工できるため、用途によってはアルミよりも優れた材料となります。
・POM・・・ポリアセタール(ポム、ジュラコンとも)
エンジニアリングプラスチックの代表格で、機械的特性、耐疲労製、耐候製に優れているためIT関係から自動車部品まで幅広く使用されています。軽量である程度の強度を持っているため、アルミと合わせてロボットのフレーム材料として使用されています。また自己潤滑性を持つことから、摺動部の受け部品としても利用されます。ROBOSPOTの加工サービスでもご利用いただけます。専門店やオンラインショップで購入可能です。
・ABS
ゴムが添加されたプラスチックで、機械部品やプラモデルの材料として使用されます。強度ではPOMに多少劣りますが、表面平滑性に優れており、専用接着剤での溶解接着、塗装が容易なので外装の材料として多用されます。耐候製はよくなく、直射日光などで劣化します。ROBOSPOTの加工サービスでもご利用いただけます。専門店やオンラインショップで購入可能です。
・FRP・・・繊維強化プラスチック(GFRP、CFRPなど)
Fiber Reinforced Plasticsの略称で、ガラスなどの高弾性な繊維とプラスチックの複合材料です。軽量で非常に高い強度を誇り、航空機や高級車などで使用されています。アルミの代替として使用した場合、大幅な軽量化が可能ですが、弾性変形しやすいので、剛性の確保には形状や組み合わせ等で工夫が必要です。切削加工の難度は非常に高く、含有繊維の吸引は人体に有害なため、専門業者に加工を発注するのが一般的です。ただし専門店、ウェブショップ、ラジコン店などで切板の購入は可能です。
設計の前にしっかりと材料を選択し、強度を考えておけば、完成した後すぐに壊れてしまうといったことは避けられます。また、製作環境も考慮して材料選定を行いましょう。
今回は以上です。
次回は「ネジと穴について」です。
乞うご期待!!!