自作4脚ロボットを作る!第4回「ねじと穴について」

こんにちは!ROBOSPOTの木内です。

ロボットの製作にねじは欠かせない要素です。サーボやフレームをガッチリと固定してくれます。
今回はそんなねじと、それを通す穴についてです。

■ねじの構造
ねじには棒に切る(形成する)「おねじ」と穴に切る「めねじ」があります。この二つがかみ合って間に挟まっているものを締め付けます。この締め付け固定のことを「締結」と呼びます。締結要素には、ねじ以外にもリベット、ピンなどがあります。

まずは「おねじ」を見てみましょう。

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「おねじ」は大きく分けて「ねじ頭」と「軸部」からできています。それぞれ細かく解説すると

【ねじ頭】
「おねじ」の頂点にある1段太い部分です。この部分で間に入る部材を「めねじ」側部材と挟みこんで固定します。ドライバやレンチでねじを回すのもこの部分です。
対応する工具の種類や形状でさまざまな種類があります。
そのため使う工具や使う場所のクリアランスを考えて形状を決めていきます。

【軸部】
ねじの細い部分で、ここにねじが切られます。軸のうち、ねじが切られていない棒部分を軸部と呼ぶときもあります。

【ねじ部】
軸部でねじが切られている部分のことです。特に軸部全体にねじが切られているものは全ねじといいます。また、ねじが切ってある部分のみの長さを「ねじ部長さ」といいます。

続いて「めねじ」です。
めねじは呼び径より小さい下穴にねじを切ることで形成します。もちろん規格品なので使用する「おねじ」と同じ呼び径のものしかあいません。

 

■寸法と用語
ねじにはいくつか特有の寸法があります。頭部形状とこれらの寸法、材質を指定することで、どんなねじを購入すれば良いか指定することができます。

【呼び径】
ねじの太さをあらわす規格寸法です(M2、M3など)。「おねじ」のねじ部外径とほぼ同じ値となります。

【首下長さ】
「おねじ」の軸部全体の長さのことです。必要な長さを確保しつつ、無駄な長さがないように決めます。

【ねじピッチ】
あるねじ山から次のねじ山までの距離のことです。通常は「並目」と呼ばれるものを使用します。市販のねじも特に記載がなければ並目ねじのことになります。他にも「細目」「タッピングねじ」「ユニファイねじ」などの種類があります。

【かみ合い長さ】
「おねじ」と「めねじ」のねじ部が実際にかみ合っている長さのことです。ねじ部とは違うものなので注意して下さい。

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番外:タッピングねじ
並目に比べねじピッチが大きめに取られたねじです。樹脂や木材などの下穴は空けられても「めねじ」が切れないような、やわらかい材料に対して使用します。並目の「めねじ」に入れると、ねじが壊れてしまいますので注意して下さい。

 

■ねじの強度
さて、ねじについていろいろと紹介してきました。ここからは設計に必要な強度に関する項目です。

まず、ねじの壊れ方には下のようなパターンがあります。

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もちろんどの壊れ方をしても物が固定できなくなりますし、最悪の場合部品ごと作り直さなければなりません。

ねじの強度は「材質」「太さ」「かみ合い長さ」で変化します。
上のパターンA,Bの壊れ方はねじの材質、呼び径の選定で防止します。

引張強度の計算式は下のようになります。
「材料の最大引張応力」×「ねじの有効断面積」=「ねじの引張強度」
せん断強度は上の結果を1/2することで概算可能です。
ここで有効断面積とは、ねじの呼び径によって決まるおねじの断面積のことです。

パターンCの壊れ方をする場合、かみ合い長さが短いということになります。例えば、ねじ部長さ10[mm]のおねじで厚さ4[mm]の板2枚を締結しようとすると、実際におねじとめねじがかみ合うのは2[mm]しかありません。これで壊れるときはもっと長いおねじを使う必要があるということです。

 

■穴について
では穴について。

部材をねじで締結するには「穴」が必要です。
ねじで締結される被締結材の穴は、通常ねじの呼び径より少し大きめの穴径で空けます(これをバカ穴といいます)。意外に思うかも知れませんが、同じ径の穴にはうまく挿入できないのです。これは工作精度によるもので、小さすぎると少しのずれで穴にねじが入らなくなり、大きすぎると締結してもガタつくようになってしまいます。
バカ穴は、使うねじの呼び径の10%増しの径にすると良いでしょう。

穴を空ける位置も重要です。部材の隅に寄せすぎると穴から千切れてきてしまいます。
そこで慣例的に、下穴もバカ穴も部材の隅から穴径と同じ分だけの余白を取っています。

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今回は以上です。
前回の材料についてと同様かなり端折っています(今回の内容だけで本1冊書けます)ので更に詳しい内容は書籍などを参照して下さい。

ではでは