月別アーカイブ: 2015年1月

自作4脚ロボットを作る!第3回「材料について」

こんにちは!ROBOSPOTの木内です。

ロボット製作に使用される材料は多々あり、用途によって適した材料を選定することが重要です。
 以下のような基準で選定していきます。

●密度
材料の単位体積あたりの質量のことで、この値に体積を乗算することで全体の質量が求められます。

●引張強度
材料が引っ張られたとき引きちぎられない(破断しない)最大の強さです。基本的に「強度」といえばこの値のことです。断面積に比例します。

●せん断強度(剪断強度)
材料がせん断(はさみで切るような)力を加えられたときの最大強さです。引張強度の1/2で概算できます。断面積に比例します。

強度に関しては、これらの値よりも大きい力が加わると部材が壊れてしまいます。そのため、加わる力をしっかりと想定した上で強度計算を行って下さい。このような材料の性質を「機械的性質」と呼びます。他にも様々ありますがホビーロボットに使用するくらいであれば上のもので十分です。各材質の機械的性質はインターネットで検索できます。

 

ロボットに使われる材料のうち代表的なものをいくつか紹介していきます。

【アルミニウム】

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フレームに使用される代表的な軽金属材料です。鉄よりも軽く(密度は約1/3)、加工性も良好なため多用されています。ただ一言でアルミといっても様々な種類があります。

・1000系・・・純アルミニウム(A1100など)
ほぼ100%アルミニウムで構成された材料です。折り曲げ加工が可能で加工難度は低いものの、粘性が高いため切削加工には向きません。また強度が低いため、フレームの材料としては向きません。入手性は高くホームセンターでも購入できます。

 

・5000系・・・Al-Mg系(A5052など)
マグネシウムを主添加物として加えたアルミ合金です。折り曲げ加工が可能ですが、粘性が高いので切削加工にはあまり向きません。中程度の強度をもち、最も多用されているアルミ合金とも言われています。ロボットのフレーム材料としてもよく使われており、ROBOSPOTの加工サービスで使われている板材もこの材質になります。専門店やオンラインショップで購入できます。

 

・2000系・・・Al-Cu-Mg系(A2017など)
ジュラルミンとして知られる、銅を添加することで鋼鉄並みの機械的強度を実現した合金です。折り曲げ加工には向きませんが、粘性が低く切削加工性は比較的良好です。航空機の材料として使用されるなど高強度を誇り、平板状フレームの材料に適しています。専門店やオンラインショップで購入できます。

 

【樹脂(プラスチック)材料】

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アルミと並んで多用されている材料です。厚手の材料でも容易に加工できるため、用途によってはアルミよりも優れた材料となります。

 

・POM・・・ポリアセタール(ポム、ジュラコンとも)
エンジニアリングプラスチックの代表格で、機械的特性、耐疲労製、耐候製に優れているためIT関係から自動車部品まで幅広く使用されています。軽量である程度の強度を持っているため、アルミと合わせてロボットのフレーム材料として使用されています。また自己潤滑性を持つことから、摺動部の受け部品としても利用されます。ROBOSPOTの加工サービスでもご利用いただけます。専門店やオンラインショップで購入可能です。

 

・ABS
ゴムが添加されたプラスチックで、機械部品やプラモデルの材料として使用されます。強度ではPOMに多少劣りますが、表面平滑性に優れており、専用接着剤での溶解接着、塗装が容易なので外装の材料として多用されます。耐候製はよくなく、直射日光などで劣化します。ROBOSPOTの加工サービスでもご利用いただけます。専門店やオンラインショップで購入可能です。

 

・FRP・・・繊維強化プラスチック(GFRP、CFRPなど)
Fiber Reinforced Plasticsの略称で、ガラスなどの高弾性な繊維とプラスチックの複合材料です。軽量で非常に高い強度を誇り、航空機や高級車などで使用されています。アルミの代替として使用した場合、大幅な軽量化が可能ですが、弾性変形しやすいので、剛性の確保には形状や組み合わせ等で工夫が必要です。切削加工の難度は非常に高く、含有繊維の吸引は人体に有害なため、専門業者に加工を発注するのが一般的です。ただし専門店、ウェブショップ、ラジコン店などで切板の購入は可能です。

設計の前にしっかりと材料を選択し、強度を考えておけば、完成した後すぐに壊れてしまうといったことは避けられます。また、製作環境も考慮して材料選定を行いましょう。

 

今回は以上です。

次回は「ネジと穴について」です。

 乞うご期待!!!

自作4脚ロボットを作る!第2回「サーボとトルクのお話」

こんにちは!ROBOSPOTの木内です。

今回から4脚ロボットの設計から一旦離れて、設計の為の基礎知識を数回に分けてご紹介します。まずはロボットの中でも重要なサーボモータから。

 

サーボモータ(以下サーボ)を簡単に言えば、動く角度を決められ、位置を保持することができるモータのことです(厳密には違いますので詳しくは各々で調べて下さい)。ホビーロボットの場合、サーボは各関節の可動軸毎に使われることが多いです。例えば弊社製KHR-3HVであれば基本状態で17軸、拡張で22軸化が可能となっていますが、これは基本状態で17個、拡張で22個のサーボ搭載が可能ということになります。

 

さて、設計するときには前回取り上げたように概ね軸数が決まっていると思います。それらの可動軸に対してどんなサーボを適応するか、特に発揮トルクから考える必要があります。

 

ここで言うトルクとはざっくり「サーボの力」のことです。

弊社製KRSシリーズサーボのトルク表記の単位は「N[kg・cm]」となっています。つまり、「1[cm]先でN[kg]のものを持ち上げられる力を出せる」という意味になります。
図にするとこのとおり↓
201501101

このトルクが荷重に対して充分でないとロボットがうまく動作しませんし、最悪サーボが壊れます。またトルクの単位からわかるとおり、荷重点までの距離が遠いほど発揮できる力は小さくなります。

今回は、KRS-3204を使用しますが、トルク9.3kg・cmを出力しますので、10cm先で0.93kgのものを持ち上げられる計算になります。

 

以上を踏まえて設計していきますが、ただトルクの高い(パワーの出る)サーボを使えばいいというわけではありません。

例えば二足歩行ロボットでは機体サイズ(脚長)を長くすれば、歩幅やバッテリーなど搭載するもののサイズを大きくすることができます。しかし機体規模が大きくなるとサーボの必要トルクが大きくなり、対応する為にパワーの出る大きいサーボを搭載すると全体の重量がより重くなり・・・といった悪循環に陥る為、必要トルクをしっかりと決めて設計することが重要になります。

必要トルクは次の式から概算できます。

  機体重量 + 持ち上げたい重量 ≦ 必要トルク(モータ発揮トルク) × 0.8 ÷ 軸間距離

上の式で必要トルクを0.8倍していますが、これはサーボが最大トルクを発揮し続けないよう、余裕をもたせるために乗算した値です。この値は私が慣例的に入れている値なので特に根拠はありません。ただし余裕が大きいほどロボットの動作は安定します。また、軸間距離はある可動軸から次の可動軸までの距離のことになります。ヒト型二足歩行ロボットであれば、足首関節から膝関節までの距離といった具合になります。

今回は以上です。

次回は、ロボットにつかう材料についてです。

乞うご期待!!!

 

自作4脚ロボットを作る!第1回「下書きを描いてみる」

こんにちは!ROBOSPOTの木内です。

第一回は下書きです。まずは設計図の下書きとして紙に手書きでイメージを描いてみます。

製図ではありませんので正確に書く必要はありませんが、だいたいのイメージをつかむためにある程度はしっかりとかきましょう。

 

まず要求仕様をもとにロボットの大まかな形と使用するサーボやケーブル、ホーンなどのパーツやコントロールボード、受信機、バッテリーなど搭載するものを考えます。大体の目処がついたら、部品の配置を考えながら全体の概形を決めていきます。

欲しい可動軸、可動範囲を実現できるように部品配置をするのがポイントです。また、バッテリーの脱着しやすい搭載位置、ケーブルの配線などに注意していくと完成度が上がります。

今回実際に描いたものがこちら↓です。 
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4脚ロボットなので同じ脚が4本と前後左右対象のボディで構成します。また、使用サーボがKRS-3204に決まっているので、その形に合わせて配置してあります。

 このときサーボのトルクに不安がある場合は、軸間距離を短くもできる配置にしておくと、後の設計作業が楽になります。今回のロボットでは脚のサーボを斜めに重ねて軸間距離を短くしつつ、コンパクトになるように工夫しています。

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ただ、厳密な寸法はまだ考えません。あくまでもざっくりと大まかに描きます。

 

今回は以上です。この工程で頭の中のイメージを具体化しておきましょう。
次回からは設計のための予備知識編。まずはトルク計算からです!

乞うご期待!!!

自作4脚ロボットを作る!第0回「イントロダクション」

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こんにちは!ROBOSPOTの木内です。

これから新企画と致しまして「自作の4脚ロボットの設計から製作」までを解説付きでご紹介します。

ROBOSPOTの加工サービスについても紹介しますので、ぜひご利用ください。

使用するサーボはKRS-3204 ICSです。
一脚に3個使いますので合計12個使用します。

コントロールボードはRCB-4HVを使用します。
HeartToHeart4を使えば簡単にモーションが作れますので、プログラミング言語なしで誰でもロボットを動かすことができます。

さらに、無線コントローラとして春に発売予定のKRC-5FHを本社から試作品を借りて使用します。
ねじ穴位置などを変更すれば別のモジュールでも取り付けられますので、無線機取り付けの参考にしてください。

今回は4脚ですが、二足歩行ロボットもほぼ同じ手順で設計製作できますから参考にしてくださいね。

 

本編は次回から開始します!

まずは、手書きの設計図から!!

 

【連載もくじ】
※都合により変更する場合があります。

・手書きの下書き

・トルク計算

・穴径とねじ穴について

・材料について

・パーツ選定

・制作環境

・脚部の設計

・胴体の設計

・バッテリーユニットの設計

・アセンブリ~チェックまで

・切削データの作成から依頼まで

・バリや曲げなど追加工

・電装系の準備

・組み立て

・モーション作成

・完成

 

乞うご期待!!!

2015年初売り!

近藤科学は喪中のため、今年もよろしくお願い致します。のみでご挨拶とさせて頂きます。

本日よりROBOSPOTの初売りがスタートしました!

お楽しみもご用意しておりますのでぜひぜひご来店ください!!

本日は19時まで営業しております。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。